球脊髄性筋萎縮症(SBMA)の病態・検査所見・治療を概説
病態
遺伝子異常(伴性劣性遺伝)により、アンドロゲン受容体タンパク質のポリグルタミンと呼ばれる部分が長くなる異常(CAGリピートと呼ばれます。)によって引き起こされる疾患です。脊髄の前角が障害されるため、筋力の低下・筋萎縮のほか、アンドロゲン作用が低下することによる性腺機能異常、延髄が障害されることによる球麻痺が生じます。
別名Kennedy-Alter-Sung症候群と呼ばれます。
成人の男性に発症し、緩徐に上述の症状が進行します。
身体所見
下位運動ニューロン障害による症状
筋力低下・筋萎縮が出現します。下位運動ニューロン障害が起こる疾患ですが、近位筋優位に筋障害が起きるのが特徴です。
他、動作時振戦、線維束性収縮が見られます。
球麻痺症状
構音障害(発生ができない、等)、嚥下障害、舌の萎縮が見られます。
他の症状
下肢振動覚低下や、性腺機能異常(女性化乳房,インポテンツ,精巣萎縮),糖尿病,肝機能障害,高血圧症、脂質異常症などさまざまな疾患が起こります。
検査所見
血液検査
血液検査でCKが上昇します。近位筋が優位に障害されることが原因です。
遺伝子検査
遺伝子検査で、CAGリピートの有無を確認することが確定診断となります。
治療
有効な治療はなく、対症療法や、リハビリテーションを中心に行います。