緊張型頭痛の病態・症状・治療について分かりやすく解説
緊張型頭痛の病態・原因
精神的なストレスやパソコン作業などの無理な姿勢の持続などによって、神経や筋の緊張が亢進することによって生じるとされる頭痛です。男女ともに発症します。
「締め付けられるような痛み」と表現される頭痛が、持続的に出現します。
症状
頭全体の締め付けられるような痛みがメインの症状になります。夕方に増悪することが多い様です。これは、1日を通して精神や身体のストレスが溜まり、夕方ごろに症状が出てくるのだと言われています。また、肩こりも伴うことが多いです。
治療
頭痛緩和を目的として、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を投与します。しかし、根本的には、ストレスの除去、解消が有用です。生活の中に運動する時間を取り入れたり、デスク作業の合間にストレッチをする、入浴で体を休める時間を取る、等、ストレスの解消に努めることが重要です。
DiGeorge症候群の病態、検査所見、治療について分かりやすく解説
DiGeorge症候群とは
この疾患は、22q11.2という遺伝子の欠失によって引き起こされます。この遺伝子の作用がなくなると、胎児が子宮内で成長するときに、胸腺や副甲状腺の基となる第3、4咽頭弓という器官に異常が起こり、胸腺低形成、副甲状腺低形成へとつながります。
胸腺低形成による細胞性免疫の障害のほか、副甲状腺低形成による低カルシウム血症、その他に、顔貌異常、先天性心疾患を伴うことが特徴です。
一部のT細胞機能が残存する部分型と、すべてのT細胞機能が欠如する完全型があります。
症状・所見
以下の症状や所見が見られます。
・胸腺提携性による細胞性免疫の障害、易感染性
・低カルシウム血症、テタニー
・口蓋裂
・心流出路奇形
ファロー四徴症、大動脈弓離断、など
・特異的顔貌
口蓋裂、小耳介、低位耳介、小顎症、眼角隔離症
・精神発達遅滞
検査
・血液検査
カルシウム低値:副甲状腺ホルモン作用によるカルシウム低値を検出します。
・ 免疫グロブリン値、リンパ球数、リンパ球サブセットの計測
B細胞数は正常であるが、T細胞数、機能の低下が見られる。免疫グロブリン値は正常かやや減少する。
・ 画像検査や心カテーテルによる心奇形の評価
治療
部分型に対する治療は、低カルシウム血症に対する対症療法や、心流出路奇形に対する外科的治療、易感染性による感染症の予防などが行われます。
完全型は、無治療では予後が悪く、造血幹細胞移植や胸腺移植を行います。
気管挿管の手法とポイント カンタンに解説①
気管挿管の練習を行ったのでメモ。個人的に後で再度練習や実践で行うときに覚えておきたいポイントを押さえておきます。気管挿管のやり方をざっくり学びたい方、どうぞ。
手順
①スニフィングポジションを取る。
まず初めに徒手で顎先を挙上させることからスタートする。これはスニフィングポジションと呼ばれる。
横たわっている人の口の中を上から見下ろすと、視線と咽頭の軸は90度に交わる。喉頭鏡を使って、顎を持ち上げ、声門を目視しなければならないが、この状態ではどう頑張っても声門を目視することはできない。
こうすることで覗き込んだ時の視線と咽頭の軸の角度を水平に近づけることができる。
②開口させる
クロスフィンガー法が有名。クロスさせた指で口をこじ開ける手法です。
☆Point
人間の顎の構造は上下にあけるのではなく、一旦前方に引き出し(アイーン的な)た後に下へ開口させると開けやすい。
以下のように喉頭鏡を持つ。この状態で持つと、握りこんだ際、ブレードとハンドルの交点を視点として、喉頭鏡が回転するように動き、この力を咽頭を術者側へ挙上させる力に使うことができる。
ブレードを舌に沿って差し込む。
喉頭蓋の根元までブレードの先を進め、ここで握りこむ。すると、舌が挙上され、声帯が見える。
そうすると、視線と喉頭の軸がさらに水平に近づき、声帯まで覗き込むことができる。
☆Point
持ち方が重要。図のように持つことで、握りこむ際にブレードを自然と動かすことができ、咽頭を術者側に挙上しやすくなる。
④挿管チューブを差し込む。
声帯を目視しながら、総監中―部をそこにめがけて入れ込む。
ブレードの湾曲に沿って入れると行いやすい。
挿管チューブの挿入まで解説しました。
続きはまた今度
薬剤性腎障害(DKI:Drug-induced Kidney injuly)
はじめに
薬剤性腎障害について、薬剤性腎障害診療ガイドライン2016を参考として、原因、病態、診断、治療についてまとめます。
薬剤性腎障害とは
薬剤性診療ガイドライン2016によると、
薬剤性腎障害(drug‒induced kidney injury:DKI)とは「薬剤の投与により,新たに発症した腎障害,あるいは既存の腎障害のさらなる悪化を認める場合」である.
と定義されています。
原因
NSAIDs、抗腫瘍薬、抗菌薬、造影剤が主要因となります。このうち、NSAIDsによるものが25.1%で咲いた要因となっています。
診断
以下の3点を満たすときに診断できます。
①薬剤の投与後に新たに発生した
②該当薬剤の中止により腎障害の消失,進行の停止を認める
③上記の ①,②があって他の原因が否定できる
しかしながらも、腎障害が長引く場合や、腎障害を元々持っている場合は診断が困難となります。また、投与から発症までの時間が薬剤ごとに異なることや、腎障害の原因薬剤が複数考えられうることも診断を難しくする要因です。
治療
原因薬剤をできるだけ早期に同定し、中止することです。
腎障害が遷延する場合は、ステロイド療法を考慮します。
参考文献
薬剤性腎障害診療ガイドライン2016
https://jsn.or.jp/academicinfo/report/CKD-guideline2016.pdf
Bland-White-Garland症候群についてコンパクトに概説
病態
先天的に左冠動脈が、肺動脈から起始する疾患です。通常、左・右冠動脈は両方とも大動脈から起こり心筋を栄養しますが、本疾患では、酸素飽和度の低い肺動脈から左冠動脈が分枝するため、左冠動脈に栄養される前壁や側壁で虚血が起こり、虚血性心筋症様の症状が生じます。具体的には、胸痛、胸部絞扼感といった症状が生じます。
先天的な心血管異常によって引き起されるので、若年から症状が出現します。これは、虚血性心疾患と異なる点であり、本疾患を疑うポイントになります。
検査
・心電図
心電図において、虚血部に一致したST-T変化(Ⅰ、V4~6誘導)が見られます。
・冠動脈造影
本疾患では、右冠動脈から左冠動脈への側副血行路が形成されます。そのため、右冠動脈造影によって、左冠動脈と肺動脈が逆行性に造影されます。
治療
手術によって、大動脈から左冠動脈へ動脈血が流れるように処置を施します。