DiGeorge症候群の病態、検査所見、治療について分かりやすく解説
DiGeorge症候群とは
この疾患は、22q11.2という遺伝子の欠失によって引き起こされます。この遺伝子の作用がなくなると、胎児が子宮内で成長するときに、胸腺や副甲状腺の基となる第3、4咽頭弓という器官に異常が起こり、胸腺低形成、副甲状腺低形成へとつながります。
胸腺低形成による細胞性免疫の障害のほか、副甲状腺低形成による低カルシウム血症、その他に、顔貌異常、先天性心疾患を伴うことが特徴です。
一部のT細胞機能が残存する部分型と、すべてのT細胞機能が欠如する完全型があります。
症状・所見
以下の症状や所見が見られます。
・胸腺提携性による細胞性免疫の障害、易感染性
・低カルシウム血症、テタニー
・口蓋裂
・心流出路奇形
ファロー四徴症、大動脈弓離断、など
・特異的顔貌
口蓋裂、小耳介、低位耳介、小顎症、眼角隔離症
・精神発達遅滞
検査
・血液検査
カルシウム低値:副甲状腺ホルモン作用によるカルシウム低値を検出します。
・ 免疫グロブリン値、リンパ球数、リンパ球サブセットの計測
B細胞数は正常であるが、T細胞数、機能の低下が見られる。免疫グロブリン値は正常かやや減少する。
・ 画像検査や心カテーテルによる心奇形の評価
治療
部分型に対する治療は、低カルシウム血症に対する対症療法や、心流出路奇形に対する外科的治療、易感染性による感染症の予防などが行われます。
完全型は、無治療では予後が悪く、造血幹細胞移植や胸腺移植を行います。