医学勉強合間のメモ

ただのメモです。医師です。詳しい情報まで見たい方には向きません。

循環内科を回った。

実習今回は循環内科だった。

こういうと怒られそうだけど、循環内科は正直そこまでの興味はなかった。

けど、興味深いと感じるポイントがたくさんあった。

 

 患者さんは皆病気を抱えて悩み、苦しんでいる。それを懸命に治し、ケアをするのが医師の定めです。以下は、それを踏まえたうえでの感想ということを理解して読んでいただけたらなと思う。

 まず、今回、興味深いと思ったポイントは、生きているヒトの体を相手にしている、という実感がわきやすいところだった。検査ではエコーやMRIでは、心臓の動きを映像で確認できる。今まで見てきたことは多々あったけど、そんなところが今回面白いと思えた。例えば、血液検査やX線などは、字面や一枚の画像を通してみるので、生きている患者さんの生態を、画像やデータを通して見ている、という実感がわきにくかった。

動いている心臓をリアルタイムで映像を通して見、心臓の動きや拍出量をチェックする。また、造影検査では、血液の流れや血流の速さを見ることができる。患者さんの病気を検査値や画像を通してではなく、リアルに(画面を通してではあるが、、)見ることができるというのが面白いと思ったポイントだった。

 

 また、患者さんとも多くかかわれた。入院した患者さんが嬉しそうな顔で退院していくのをみれるのは、こっちも嬉しかった。

 

循環内科をさらに勉強したくなる経験をできた。

 

 

【病理学】甲状腺乳頭癌病理診断のポイント 核所見について

甲状腺乳頭癌は甲状腺癌の中では最も頻度の高い癌です。癌細胞が乳頭状に増殖するなが特徴の癌ですが、病理診断をする上では、組織像ではなく、核所見が非常に重要です。

 

甲状腺乳頭癌 核所見

・すりガラス状

・核の溝(nuclear groove)

・核の重畳

・偽封入体

 

核所見は以上です。

病理コア画像で見てみましょう。

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引用:病理コア画像

13.内分泌 (8)甲状腺乳頭癌|病理コア画像

 

すりガラス様の核が広く見られます。矢頭にはコーヒー豆状の核溝を持つ核が見られます。この画像では、矢印に偽封入体が見られますが、偽封入体を探すのは難しい例も多くあるようです。

 

甲状腺乳頭癌の診断には、組織像よりも、こららの核所見を見ることが重要になります。

 



 

大腸がんを予防、早期発見する方法

 大腸癌とは

 予防法

大腸癌 総説・原因

大腸癌は、消化管の癌のなかでもっとも頻度が高い癌です。女性と比較して男性で頻度が高く、60~70歳に最も多く発生します。アメリカ、カナダ、オーストラリアなどの先進国で罹患率が圧倒的に高い疾患です。日本はかつては発生頻度が低かったですが、最近罹患率が上昇し、男性では胃癌、肺癌についで3番目、女性では乳がんに次いで2番目に多い癌となっています。

 これには、日本での生活様式の変化、食の欧米化が関係していると言われています。インターネット上でも、大腸癌については多くの情報がありますが、医学的にも、食事は大腸がんに密接に関与しているとされています。具体的には、吸収されない食物繊維の摂取低下、精製炭水化物と死亡の過剰摂取、が挙げられます。

 

予防法

予防としては、動物性の高脂肪、高たんぱくの過剰摂取を避けること、食物繊維の摂取が挙げられます。

また、家族に大腸ポリープや大腸癌があった人や、潰瘍性大腸癌を患っている人は大腸がんの発症リスクが高いため、40歳以上が対象の大腸がん検診を定期的に受診することが勧められています。大腸癌は粘膜に留まる早期がんの状態であれば、ほとんどが治療可能です。早期発見のためにも是非受診してほしいと思います。

 

 

個人的には、医学的にも食生活を改善することで癌の発症リスクを低減できることが分かっているのが、今更ながら驚きでした。数々の情報がありますが、医学的にも、多くの研究で確かめられてきた事実であるのならば、食生活改善への意欲もわくのではないでしょうか。そんな思いを込めて書きました。

 

出典:ロビンス基礎病理学 第9版

   国立がん研究センターがん情報サービス 

           https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/colon.html

 

【病理学】前立腺がんの病理について分かりやすく

前立腺癌の病理についてです。前立腺癌は、病理を勉強していて難しい病気の1つでした。初めて勉強する人の理解の足しになれば良いかなぁと思って書きま

 

学生なりの意見ですが、まず、前立腺癌は一見、正常組織に見えてしまう、ことが挙げられます。また、正常組織も他の臓器の正常組織像の常識から考えると、正常組織の方が癌っぽく見えるのも難しいところじゃないかなと思いました。

 

まず、前立腺の正常組織像は、各々の腺管が独立して存在し、内腔に向かって上皮組織が乳頭状に突出していますが、他の臓器、例えば結腸だったら内腔に向かって乳頭状に増殖している像は、癌と考えますよね。これが正常っていうのが改めて勉強して驚いたポイントでした。

 

前立腺癌は、Gleasonpattern1,2は組織診、生検で見る機会は少ないらしいので省きますが、特にGleasonPattern3はこっちの方が正常に見えてしまう、っていうのも注意すべきポイントだと思いました。

 

 Gleason pattern3

腺管が正常と比較して小さい。腺管が独立しており、周囲をなぞると円になる

 

 

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pattern4と見分けるのには、周囲をなぞって円になるってポイントが重要です。実際区別するのにすごく役立ちました。

 

Gleason pattern4からは、確かに癌っぽいとくちょうがましてきます。特徴は以下の通りです。

 

Gleason pattern4

癒合腺管:腺管が癒合したものが出現する。

篩状構造: 癌化した腺組織の中にポツポツと穴(腺の内腔)が空いてる

 

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上が篩状構造の模式図ですが、赤とオレンジの細胞は、2つの腺腔を介在してるのがわかると思います。

これは、正常な上皮細胞では性質的にあり得ないことらしいです。

どういうことかというと、正常の上皮は、基底側で基底膜に結合し、その対側は内腔に接しています。上の絵では、両側とも内腔に接しているため、正常な機能を失った細胞であると判定できるそうです。

これは、篩状構造が、単に腺が接しているか判別するのに役立ったので、覚えていて損はないかと思います。

 

ざっくりとですがまとめてみました。

前立腺は、教科書を読んで見てみるだけでは、難しい病気だったので先生方から指導を受けながら見れるようになりましたが、鏡検で重要なポイントを知っておくだけでも大分変わると思います

勉強の足しになれば幸いです。

 

【病理】脈管浸潤判定の手法・意義をわかりやすく解説

癌の病理診断を行う上で、TNM分類は重要ですが、その項目の一つであるリンパ節転移、遠隔転移を起こすリスクを判定するために、脈管浸潤を特殊染色や免疫染色で見ることがあります。

 

 最もよく用いられるヘマトキシリン・エオジン染色では、癌細胞が静脈内、リンパ管内に浸潤していってるか見分けづらいですが、ヴィクトリア・ブルー染色で静脈への、D2-40抗体を用いた免疫染色でリンパ管への癌細胞の浸潤を見やすくすることが可能です。

 D2-40染色は、リンパ管の内皮細胞を染色します。H・E染色のみでは、スライド作成時の人工的な操作により癌胞巣の周囲に空隙が生じている際、また、炎症細胞が高度に浸潤している際はリンパ管との区別をつけがたかったり、リンパ管を同定しがたかったりします。また、癌胞巣周囲に空隙があって、その内腔を管用細胞が覆っている際は内皮細胞との区別が難しくなります。そこで、D2-40染色を用いてリンパ管内皮細胞を染色し、浸潤を見ます。

 

 ヴィクトリア・ブルー染色は弾性繊維を青く染め出すため、動脈、静脈の内弾性版を青く染め出します。

 動脈では明瞭な内弾性板の外側に厚い筋層が、静脈では不明瞭な内弾性版の外側に薄い筋層が確認されるので、判別が可能です。静脈への浸潤があると遠隔転移のリスクが上昇します。

 

 ちなみに、ヴィクトリア・ブルー染色はH・E染色と同じプレパラート上で行えるので、便利です。

 

 

救急 ショック鑑別

ショックの分類は以下の通り。

 

・循環血液量減少性ショック

・血液分布異常性ショック(アナフィラキシーショック、神経源性ショック、敗血症性ショック)

・心源性ショック

・心外閉塞・拘束性ショック

 

鑑別で一番大きなポイントは、血液分布異常ショックの3つのみ、抹消血管抵抗の低下が起こり、末梢血流の増加が起こる。そのため、皮膚は暖かくwarm shockと呼ばれる。

その他は全て交感神経系の賦活化により末梢血管は収縮し、血流低下のため冷たく、冷や汗で湿った状態となる。

 

 

救急 ショック鑑別

ショックの分類は以下の通り。

 

・循環血液量減少性ショック

・血液分布異常性ショック(アナフィラキシーショック、神経源性ショック、敗血症性ショック)

・心源性ショック

・心外閉塞・拘束性ショック

 

鑑別で一番大きなポイントは、血液分布異常ショックの3つのみ、抹消血管抵抗の低下が起こり、末梢血流の増加が起こる。そのため、皮膚は暖かくwarm shockと呼ばれる。

その他は全て交感神経系の賦活化により末梢血管は収縮し、血流低下のため冷たく、冷や汗で湿った状態となる。