医学勉強合間のメモ

ただのメモです。医師です。詳しい情報まで見たい方には向きません。

【病理学】前立腺がんの病理について分かりやすく

前立腺癌の病理についてです。前立腺癌は、病理を勉強していて難しい病気の1つでした。初めて勉強する人の理解の足しになれば良いかなぁと思って書きま

 

学生なりの意見ですが、まず、前立腺癌は一見、正常組織に見えてしまう、ことが挙げられます。また、正常組織も他の臓器の正常組織像の常識から考えると、正常組織の方が癌っぽく見えるのも難しいところじゃないかなと思いました。

 

まず、前立腺の正常組織像は、各々の腺管が独立して存在し、内腔に向かって上皮組織が乳頭状に突出していますが、他の臓器、例えば結腸だったら内腔に向かって乳頭状に増殖している像は、癌と考えますよね。これが正常っていうのが改めて勉強して驚いたポイントでした。

 

前立腺癌は、Gleasonpattern1,2は組織診、生検で見る機会は少ないらしいので省きますが、特にGleasonPattern3はこっちの方が正常に見えてしまう、っていうのも注意すべきポイントだと思いました。

 

 Gleason pattern3

腺管が正常と比較して小さい。腺管が独立しており、周囲をなぞると円になる

 

 

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pattern4と見分けるのには、周囲をなぞって円になるってポイントが重要です。実際区別するのにすごく役立ちました。

 

Gleason pattern4からは、確かに癌っぽいとくちょうがましてきます。特徴は以下の通りです。

 

Gleason pattern4

癒合腺管:腺管が癒合したものが出現する。

篩状構造: 癌化した腺組織の中にポツポツと穴(腺の内腔)が空いてる

 

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上が篩状構造の模式図ですが、赤とオレンジの細胞は、2つの腺腔を介在してるのがわかると思います。

これは、正常な上皮細胞では性質的にあり得ないことらしいです。

どういうことかというと、正常の上皮は、基底側で基底膜に結合し、その対側は内腔に接しています。上の絵では、両側とも内腔に接しているため、正常な機能を失った細胞であると判定できるそうです。

これは、篩状構造が、単に腺が接しているか判別するのに役立ったので、覚えていて損はないかと思います。

 

ざっくりとですがまとめてみました。

前立腺は、教科書を読んで見てみるだけでは、難しい病気だったので先生方から指導を受けながら見れるようになりましたが、鏡検で重要なポイントを知っておくだけでも大分変わると思います

勉強の足しになれば幸いです。