医学勉強合間のメモ

ただのメモです。医師です。詳しい情報まで見たい方には向きません。

分かりづらい蓄尿、排尿のメカニズム(神経機構)を分かりやすく説明

蓄尿、排尿を支配する神経機構について説明

 

目次

 

 

個人的に苦手なところだったんですよね。

蓄尿、排尿に関わる機構は、登場人物(中枢神経上の核とか)が多いし、すぐ忘れてしまったんですよね

 

で、今回分かりやすく、覚えやすくする工夫をしたので共有します。

ちょっとでも分かりやすいと良いけど。

蓄尿、排尿に関わる神経の全体図

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以上が今回覚える登場人物と、その全体図です。

まず、下に膀胱があって、膀胱に尿が貯まると求心性神経で中枢神経上の各部位に、尿が貯まったよ、って情報が送られます。

その行き先が、4つあります。

①大脳

②PMC(PAGとはセットで覚える)

③交感神経中枢

④Onuf核

 

こいつらが、互いに抑制しあったり、刺激したりして蓄尿、排尿が起こります。

 大事なのは、これらの調整は、PMCが主役になるということです。それを意識してみていきましょう

蓄尿

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蓄尿期には、以上の機構で尿が貯められています。

膀胱壁が尿がたまって引き延ばされると、そこから求心性神経によって、中枢神経へ”尿がたまったよー”って情報が送られます。

行き先は、まず、脊髄に存在する交感神経中枢Onuf核を覚えましょう。

交感神経中枢から出る交感神経は、①膀胱の排尿筋収縮と②尿道括約筋収縮の二つの役割を持ちます

Onuf核尿道括約筋収縮のみです。

 

でも、1枚目の全体図の図では、なんかもっと上にいますよね。

こいつらは以下のようになっています

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まず、点線で囲まれたエリアからです。いました。PMCです。こいつが主役です。しっかり見ましょう。

PMCの上にいるPAGは、PMCを刺激する役割を担います。ですので、ここでは、便宜的にPAGとPMCをセットで考えましょう。図でもそう描いてます。PAGは膀胱からの求心性神経による情報を受け取ると、PMCを刺激しようとします。(PMCの働きは後で後述します。)PAGはPMCを働かせる役割を持つので、PAGが抑制されれば、PMCも抑制される。逆も然り。ですので、この二つはセットで考えたほうが分かりやすいです。

 

情報は、大脳PAG&PMCへ入ります。

大脳蓄尿期には、PAG&PMC  を抑制します。これによって、PMCはPMCは抑制されます。これにより、排尿筋の収縮や内尿道括約筋の弛緩が起こらず、蓄尿が保たれているのですが、メカニズムはどうなっているのでしょうか。

次で、見ていきましょう

 

排尿期

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まず、「おしっこを出す」という意識が生じます。トイレに行って、おしっこをするときのことです。

すると大脳が”おしっこをだせ”という指令をPAG&PMCへ下します。すると、PMCが刺激され、脊髄の副交感神経中枢を刺激します。

副交感神経核から出た神経は、①膀胱の排尿筋を収縮、②尿道括約筋を弛緩させ、排尿が起こります。

 

では蓄尿期で登場した、交感神経核、Onuf核はどのようになっているでしょうか。

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PAG&PMCによって、交感神経核、Onuf核が抑制されていますね。

これによって、膀胱の弛緩、内尿道括約筋の収縮(交感神経作用)と、外尿道括約筋の収縮(Onuf核の作用)が中断されるわけです。

 

まとめ

以上をまとめると、やはりPMCが主役であることが分かります。

 

蓄尿期:大脳がPMCを抑制→交感神経核とOnuf核が抑制されない→蓄尿

排尿期:大脳がPMCを刺激→交感神経核とOnuf核が抑制、副交感神経核刺激→排尿

 

以上のPMCの働きが肝です。

蓄尿期、排尿機それぞれでのPMCの状態(抑制か賦活化か)で交感神経中枢、副交感神経中枢が受ける作用により、蓄尿か排尿かが決まるというわけです。