リウマチ性多発筋痛症の病態、症状、所見、治療について概説
病態
50代から発症し、特に70代女性で多く見られる疾患です。巨細胞性動脈炎に合併することが多いです。
症状
対称性の近位筋優位な筋痛が見られます。朝に筋のこわばりを認めます。
また、本疾患は、側頭動脈炎に合併することが多いため、疑った場合は、視力障害(虚血性視神経炎)の合併に最も注意が必要です。
検査所見
非特異的炎症所見(CRP上昇、赤沈亢進、補体価上昇、フィブリノゲン上昇)が見られますが、その他の所見は正常です。
朝のこわばりや筋痛などの関節リウマチや皮膚筋炎に類似した所見が見られますが、リウマトイド因子や抗核抗体は陰性となることが特徴的です。
治療
巨細胞性動脈炎の合併がない場合、少量でステロイドが著効します。
今日細胞性動脈炎の合併があれば、それの治療に準じます。
強直性脊椎炎の病態、症候、検査所見、治療について概説
病態
20~30歳代に好発する原因不明の慢性進行性関節炎である。HLA-B27が陽性となる。
症候
傍脊椎靭帯が骨化し、前屈、後屈、側屈が障害される。
腰痛は運動により改善することが特徴である。
他に、仙腸関節炎、虹彩毛様体炎、大動脈炎による大動脈弁閉鎖不全症、房室ブロックを呈する。
検査所見
腰椎X線撮影
Bamboo spineと呼ばれる像が見られる。
他
HLA-B27が陽性となる。リウマトイド因子は陰性となる。
赤沈亢進や、CRP上昇などの非特異的炎症反応がみられる。
治療
NSAIDsや、抗リウマチ薬(メトトレキサートなど)、免疫抑制薬(シクロスポリンなど)が有効である。
保存的治療の効果が不十分であれば、手術を考慮する。
単純ヘルペスウイルス感染症の病態・検査・治療をわかりやすく概説
病態
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)とHSV-2が、それぞれ主に口唇、外陰に感染することで引き起こされる感染症です。
HSV-1は、主に飛沫感染・接触感染の経路で感染し、口唇に痛みを伴う水疱を生じます。HSV-2は主に性感染の経路で感染し、外陰に同様の水疱を生じます。最近では、HSV-1, 2それぞれの感染部位が逆転していることもある様です。
不摂生やストレスが重なった際などの免疫力が低下したときに、水疱の出現を繰り返します。
検査
Tzank試験により、水疱内容に巨細胞(ballon cell)を見ることができます。
治療
アシクロビルやバラシクロビルが有効です。しかし、完治することは難しく、再発します。
インフルエンザの病態・検査・治療について分かりやすく概説
インフルエンザとは
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスの感染によって、発熱や頭痛、関節痛などの症状が出現する病気のことです。インフルエンザウイルスは、RNAウイルスと呼ばれるウイルスの一種で、A、B、C型があります。季節性インフルエ約7割はA型によるもので、残り3割がB型によるものであることが分かっています。C型は症状を引き起こすことが少ないです。飛沫感染(咳やくしゃみなど)によって感染します。
症状
発熱(高熱)、せき、喉の痛み、筋肉痛、関節痛などの多くの症状が出現します。
検査
鼻咽頭拭い液による迅速検査で、鼻粘膜中のインフルエンザウイルスの抗原の存在を確認することにより診断できます。
治療
ノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル)が有効です。この薬は、インフルエンザウイルスが細胞内で増殖した後、細胞外へ出るのを防ぐ働きをします。これにより、インフルエンザウイルスは他の細胞へ感染することができなくなります。A型には、アマンタジンを使用することもあります。
※アマンタジンは妊婦には使用できません。
また、アスピリンやイブプロフェンなどのNSAIDs、アセトアミノフェンによる鎮痛も有効です。18歳以下の小児は、NSAIDs(アスピリンやイブプロフェンなど)の投与により、Reye症候群を引き起こし、急性脳症や肝障害を患って患ってしまう危険があるためNSAIDsを投与してはいけません。
予防
ワクチンによる予防が可能です。インフルエンザウイルスは頻繁に抗原が変化するため、毎年の摂取が必要になります。また、インフルエンザウイルス感染者と接触したのちに抗ウイルス薬(上述のノイラミニダーゼ阻害薬)を内服することで発症を予防することができます。
片頭痛の病態・症状・治療について分かりやすく解説
片頭痛の病態・症状
女性に多い頭痛です。片方の側頭部(こめかみの部分)にズキズキとした痛みを感じます。個人差がありますが、月1、2回程度の症状が出ることが多い様です。頭痛は、日中に生じることが多く、一回あたり数時間から数日続きます。
以下の様な症状、特徴があります。
・閃輝暗点
頭痛の前に、「半透明の歯車の様なもの」と表現される斑点が見られることがあります。
・側頭部の拍動性頭痛
こめかみの部分に、ズキズキと脈打つような痛みを感じます。
・悪心(吐き気)・嘔吐
・体動による増悪
体を動かすことで頭痛が悪化します。
・光や音、匂いに対する過敏性
光や音、匂いに対して敏感になるとともに、これらによって頭痛が誘発されることもあります。
予防・治療
予防にはCa拮抗薬とβ遮断薬を用います。光や音、匂いによって頭痛が誘発されることもあるので、強い光や音の生じる場所(夏の日中の外出、映画館、カラオケなど)を避けたり、匂いが強い場所ではマスクなどで防護するなどの工夫も有用です。
また、頭痛出現時には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やトリプタンが有用です。